有給休暇が8割消化できない3つの理由

有給休暇が消費されない理由は、私の体験上、大きく分けて三つあります。それが単独の理由の場合もありますし、また複合的な理由となっていることもあります。以下、その理由について論じてみたいと思います。
 
まず一つ目は、労働者である我々の意識の問題です。日本の職場は、概して人に仕事がくっ付いているケースが多いです。この人がいないと仕事が回らない、というケースを体験したことのある人も多いでしょう。実際に私自身、そのような人を何人も見かけてきましたし、もちろん私自身もそのような立場になってしまったことがあります。
 
そうなりますと、「自分が休んだら会社の仕事が回らなくなる」という事態に陥り、自分自身で有給休暇の取得をためらってしまいます。
 
また、仮に有給休暇を取得したとしても、休み明けにうんざりするほどのメール、書類の山を目の当たりにして休まなきゃよかったと後悔したことすらあります。
このように、どうしても人に仕事がくっ付いてしまっているので有給休暇を取得できないわけです。
 
二つ目が周囲との兼ね合いです。帰宅する際にもそうですが、どうしても横並びの意識の強い職場だと、定時が過ぎても帰りづらい雰囲気があります。他の人が仕事をしているのに、自分だけ早く帰るのも気が引ける。そう思ったことのある人も多いでしょう。
この横並び意識は、上手く作用すれば人間関係の強化に繋がり、教え合ったりフォローしたりする文化が醸成されます。
 
しかし一方で、このように「自分だけが抜けだすわけには……」という目に見えない鎖を生み出し、自由な動きを制限されるという弊害もあるわけです。
 
有給休暇取得に際し、この横並び意識が弊害として現れると、このように「他の人が取得していないのに自分だけが取得するわけにはいかない」という目に見えない鎖に繋がれてしまうわけです。私が以前在籍していた職場では、我慢比べのように社員がけん制し合って取得していませんでしたね。
 
三つ目は上司の理解度です。近年ではブラック企業、過労死などがクローズアップされ、「モーレツ社員」と呼ばれるような人種は減りました。しかしながら、それでも有給休暇を快く思わない人間が一定数おります。そして問題なのが、それがまだ「モーレツ社員」の名残のあった時代に働いていた年代が上役にいる点なのです。有休なんてもってのほかだ!ということを言ったり思ったりしている人間は案外と多いです。これだけ労働環境の整備が叫ばれている現代においても、その点はあまり変わらないんですよね。
 
また、評価の方法にも問題があります。もっとも、これは上役だけを責めるわけにもいきませんが。
 
実際に上役になるにあたり、企業は評価の仕方、着眼点を教育しなければならないのですが、現状そのようなことを実施している企業はごく少数でしょう。
大半は若手社員からの実績、人間関係から上へと引き上げられ、上役としてのスキルを身に付けられないまま来てしまっています。
 
そうなりますと、評価の仕方が分からないため、その基準が「営業成績(業務実績)」「人間性」「従順性」に求められていくのです。
 
営業社員であれば、目に見える明確な営業成績という結果が出ますが、そうではない管理系部署だと判断基準に迷います。
 
そうなりますと、結局は「人間的に素直だ」「休まない」といった時代錯誤な内容で評価をされていくようになるわけです。
 
部下の方でもその辺りは賢く察知しているわけですから、休まないで粛々と業務に参加をしている方が良いという判断になるわけです。
 
このようにして、有給休暇を取得しなければいけないという現状を無視し、目の前の環境に迎合しようと有給休暇を取得しないでズルズルと来てしまうわけですね。
 
これを改めるには、やはり法律だけでは限界があります。一人ひとりの意識を改革し、人に仕事を貼り付けない業務改善を断行するべきです。
 
その中で、不要な横並び意識を撤廃し、上司たる人間の意識改革を促していくのです。
私は、これまでの経験でそのように感じましたね。