IT エンジニアがフリーになったブログ



私は、企業でITエンジニアをしていましたが、30歳を機にそれまで勤めていた会社を辞め、フリーの身になりました。これから会社員の道をドロップアウトしフリーに転身しようとしている方、会社が嫌で辞めようと考えている方もいるかと思いますので、私のフリーになるまでの経緯などを参考としてご紹介してきます。


1.簡単な自己紹介
まず、簡単に私の身の上話を。
私は大学卒業後、IT系の企業に就職しました。名前は伏せますが、まあそれなりの規模、ランクの企業です。(IT業界ではトップ20くらいには入るかと)
そこでおもにデータベース系のエンジニアをしていました。加えてプログラムも多少かじっています。そんな感じで大体8年くらいIT業界でせっせと働いていました。
間に転職はせず一つの会社にずっと勤めていました。そして30歳を機にそれまで働いていた会社は辞め、フリーの身に転じました。
スキルはまあ人並みです。もともと就職するまではIT関連の経験はなく、センスも天才肌ではないため、8年で人並みのスキルを身につけた感じです。

2.組織が働きにくかった
さて、なぜそんな私がフリーになったのか。まずは会社という組織が働きにくかった事が根本的な理由です。
私の勤めていた会社も含め、これは会社問わずIT系エンジニア全般に言える事ですが、ITエンジニアの場合、基本はプロジェクトに出向する形が多いです。(社内SEなどは別として)それで、社外と社内の板ばさみになる訳です。
社外のプロジェクトではその環境でまるで社員のように働いている訳ですが、一方で自分の会社から別の仕事を振られたり、後輩の教育などを任されたりします。それで時間的にどうにもならなくなり、どちらの仕事も乱雑になる日々が続いていました。
また、基本は社外にいるので、会社の人たちとほぼ繋がりもありません。会社は指示を出すだけの様な存在でした。、
そんな状態だったので、「これはフリーになった方が働きやすいんじゃないか」、「会社にいる意味がないんじゃないか」といった思いがどんどん蓄積してきました。それがフリーになった理由の一つです。
転職というのも考えましたが、どこの会社にいっても差はあれどこんな感じだろうと思い、転職は潔く無視しました。

3.人脈がそれなりにあった
だからといって急にフリーになっても仕事など見つかる訳がありません。そこは課題でした。
ただ、私にはそれなりに人脈がありました。私は意外と若い頃から様々なプロジェクトに出入りしていたので、その業界でかなりの人と関わりました。
また天才肌とまではいかないものの、それなりに仕事の成果は上げられていたので、プロジェクトで関わった上場企業のリーダーや、自分でフリーのIT会社を営んでいる社長兼エンジニアの方などから「フリーになったら契約するよ」と結構言われていました。
始めは冗談半分で聞いていましたが、相手は意外と本気だったという事が分かり、「これ、フリーでもいけるんじゃないか」と次第に思うようになりました。これも、フリーになるのを後押しした理由の一つです。

4.お金はあった
とはいうものの、フリーで生きていくのはなかなか厳しいものです。
ただ私にはもう一つお金の支えがありました。個人的に若い頃から株式投資をしておりまして、その時点でそれなりの資金がありました。大体数年はたとえ仕事がなく無職同然でも生きられる額です。加えて株式投資で安定した利益を出せるテクニックもそれなりに持っていました。(投資に100%はないので、まあ思い上がりもありますが)
また独身なので、家族の扶養責任などもありません。
そんな事だったので、お金にはそこそこ余裕もありましたし、特に捨てるもの、守らなくてはならないものもなかったので動きやすかったのです。これもフリーになった理由の一つです。まあ、一言で言えば「なんとかなるや」的なノリです。

5.以前からフリーになりたい願望も少しあった
加えて、私は20代前半、いやもっと前からだったかもしれませんが、いつかはフリーで働いてみたいという願望も少しですが胸に抱いていました。
なんというか、会社に頼らず自分の力だけで生計を立てて生きたいなという思いです。周囲に独立を目指していた友人が多かったせいもあるかもしれません。
そんな思いも長年胸に抱いていたため、30歳という節目で行動にでました。これもフリーを促した理由の一つです。

6.収入アップも期待した
フリーになると原価で仕事が出来ますので、やはり収入アップを期待していなかったというと嘘になります。
ただ、私はスキル的にはまあ人並みでしたので、収入数倍などといった身の程しらずの期待まではしていませんでした。
厚生年金などの補助が消える分も含めて、会社員の頃よりも1.2倍、1.3倍くらい程度にはなればいいかなぐらいの期待ですかね。
そんな多少の収入アップを期待したのも、フリーを促した理由の一つです。

6.フリーになるまでの行動
以上の様な理由が重なり、フリーになる事を決断しました。
ただ急にハイやめますというのがなかなか難しい業界だったため、半年前程度に上司に辞める事を報告し、仕事がひと段落する頃合を見計らいました。
退職意思を示す際に、上司にはフリーになる事はある程度濁して伝えましたね。「同業界で転職するつもりだが、場合によってはフリーも考えている」程度に伝えました。
そんな感じで、ようやく携わっていたプロジェクトがひと段落したので、それを機に退職しました。
意外と出入りが多い会社だったので、自分の仕事さえ片付ければ退職自体は気軽にできました。
なお、その間にフリーになった後の仕事先についても算段を進めました。いくつかお話を貰っていましたが、以前から関係のあった中規模のIT企業に当面はお世話になる事に決めました。以前からこういった話はしていたため、特に相手も拒否せず、すんなりとOKしてくれました。
この様な流れで、半年計画で退職にいたりました。

7.フリーになった後の生活
現在は、前述した会社の下で、直受で仕事を回してもらっています。以前より関わる仕事の規模は小さくなりましたが、会社との板ばさみがなくなったため、仕事はスムーズに行えています。ただ問題となっているのが、空き期間ができること。やはりフリーですので、常に仕事を貰える訳ではなく、定期的に空きの期間ができます。
一応、他の充てもあるのですが、上手く担当期間がそれぞれの案件で一致しないため、どうしても定期的に空き期間ができてしまいます。
この空き期間は収入が無くなってしまうため、今現在大きな課題となっています。副業で投資活動やライター活動なども行っていますが、やはり不安定な状況が続いています。
また、今の会社もいつまで仕事を回してくれるかもわかりませんので、将来の受注先も現在人脈を辿りながら模索中です。
収入については、働いている際の収入は2倍程度になりましたが、空き期間はほぼゼロなため、トータルでは0.8倍程度といった感じです。

8.フリーになってよかった事
フリーになってよかった事は、私の場合は、会社のしがらみの様なものが消えた事ですね。
会社に雇われていた時は、日中はプロジェクト先で延々と仕事、それが終わったら自分の会社の案件や管理業務などに追われ、終電帰りも当たり前、時には休みの日まで家で一日資料作りという日もありました。これが、フリーとなるとそういった会社周りのタスクがまるで無くなったため、かなり快適です。メインの仕事にも集中できますし、自分の時間として使える時間も増えました。
また、会社のわずらわしい接待飲み会やイベントなども無くなりましたし、上司に無理難題を突きつけられる事もありません。身体も精神も以前よりかなり健康的になった気がします。
加えて、スキルアップが図れたのもよかった事の一つです。やはりフリーとなるとスキル不足は死活問題になりますので、以前より積極的に勉強などをする様になりスキルアップが図れました。勉強に回せる時間に余裕が出来たのも関係してますね。
会社員の時に1年程度で身に付けるスキルを、最近は半年程度で身につけている感じです。

9.フリーになって悪かった事
フリーになって悪かった事は、やはり金銭面です。
私の場合、時間単価の収入は以前より増しましたが、やはり常々仕事を貰えている訳ではないので不安定です。
それでも独り身で貯蓄もそれなりにあったので、今現在は致命的なダメージにはなっていませんが、将来のことを考えると不安です。
いつまで今のところが仕事をくれるかわかりませんし、結婚をし子供ができ支出が増えたら、現状のままでも破綻する可能性があります。
さらに言えば、退職金や厚生年金が無くなったことを考えると、老後にどう生活していくのか、いつまで働いていくのかが頭悩まされるところです。

10.これからフリーを考えている方に向けて
これから私のように会社を辞めて、フリーになろうとしている方もいらっしゃるかと思います。
人によって価値観は違いますし、仕事によってもフリーの実情というのは変わってるかと思いますので、フリーになる事が良い悪いか、おすすめかおすすめかでないかは私には判断できません。
ただ一つ言える事は、金銭面が大きな課題になってくるかと思います。
どんな人であっても、どんな仕事をしていたとしても、フリーになると会社員の様に、確実に定期的に収入が入ってくる事はなくなってくるでしょう。また退職金と厚生年金は確実に消えます。雇用の仕組み上、フリーとなるとこの部分はどんな方であっても免れない部分です。
ですので、金銭面は必要以上に十分考慮した上でフリーになる事をおすすめします。
特にパートナーやお子さんがいる方は、数十年先まで金銭のシミュレーションをした上で、フリーとなった方が良いかと思います。
向こう見ずの自転車操業の様になってしまうと、いろんな物が崩れていく恐れがあるはずです。